
「教員 メンタルヘルス」「教員 休職」「精神疾患 病気休職」「休職率」といったキーワードで現状を探っている方に向けて、教員のメンタルヘルスの現状を公的データに基づき整理します。
この記事では、文部科学省の公表資料をもとに、精神疾患による病気休職の人数、割合、推移、校種別・性別・年代別の傾向をわかりやすくまとめます。
令和6年度の公立学校における教育職員のうち、精神疾患による病気休職者は7,087人でした。
在職者総数922,776人に対する割合は0.77%です。
0.77%という数字だけを見ると小さく感じるかもしれませんが、現場感覚に置き換えると約130人に1人にあたります。
決して一部の特殊なケースではなく、学校現場全体に関わる規模の課題として捉える必要があります。
ここでいう「教育職員」には、公立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校などに勤務する職員が含まれています。
教員の精神疾患による病気休職は、ここ10年で見ても増加傾向にあります。
平成27年度には5,009人(0.54%)だったものが、令和6年度には7,087人(0.77%)まで増えています。
単純な人数の増加だけでなく、在職者に占める割合も上がっており、長期的に見て深刻さが増してきたことがわかります。
直近では、令和5年度が7,119人(0.77%)、令和6年度が7,087人(0.77%)で、人数はわずかに減ったものの、割合は変わっていません。
つまり、急激改善している状況ではなく、高止まりしていると見るのが実態に近いでしょう。
校種別に見ると、精神疾患による病気休職の割合が最も高いのは特別支援学校の0.99%です。
ほぼ100人に1人の水準であり、校種による差も無視できません。
令和6年度の校種別内訳は次の通りです。
人数ベースでは小学校が最も多く、割合ベースでは特別支援学校が最も高くなっています。
学校種によって業務の特性や負担の質が異なるため、一括りにせずに見ることが重要です。
性別で見ると、精神疾患による病気休職の割合は女性のほうが高い状況です。
令和6年度の内訳は以下の通りです。
人数でも割合でも女性が上回っています。
教員全体における男女構成の違いを踏まえても、女性教員の負担や働き方の実態を注視していく必要があります。
年代別に見ると、病気休職者数が多いのは30代と40代です。
令和6年度の人数は次の通りです。
最も多いのは30代で、次いで50代以上、40代、20代という順になっています。
とくに30代・40代は、学年運営や校務分掌、若手支援と中堅としての責任、家庭との両立など、複数の負荷が重なりやすい時期でもあります。
また、関連資料では、幅広い年代で増加傾向が見られる中でも、20代の増加幅が大きいことが示されています。
一方で、病気休職そのものに着目すると、30代・40代の増加傾向が目立つと整理されています。
なお、年代別の割合は、各年代の在職者数を分母として計算されています。

精神疾患による病気休職の背景には、複数の要因があります。
なかでも大きいのは、子どもへの指導そのものに関わる負担、職場内の対人関係、事務的な業務負担です。
教育委員会への確認として整理された主な要因は、次の通りです。
ここから見えてくるのは、教員のメンタルヘルスの問題が単純に「本人の資質」や「忙しさ」だけで片づけられるものではないということです。
授業や生徒指導といった本来業務、職場の人間関係、そして事務負担が複合的に重なり、心身に大きな影響を与えている実態があります。
教員のメンタルヘルスの実態を考える上で、「休職者数」だけでなく、1か月以上の病気休暇取得者も合わせて見る必要があります。
令和6年度において、精神疾患による1か月以上の病気休暇取得者と病気休職者を合計した長期療養者は、13,310人でした。
在職者に占める割合は1.44%です。
これはおよそ70人に1人の規模です。
つまり、学校現場では「正式な休職」に至る前段階も含めると、すでに相当数の教員が長期的な療養を必要としていることになります。
“休職していないから大丈夫”とは言えず、休暇取得の段階で支援につなげるかどうかが重要になります。
ここまでの数字を通して見えてくるのは、教員のメンタルヘルス不調が一部の個人だけの問題ではないということです。
約130人に1人が精神疾患で休職し、1か月以上の病気休暇まで含めれば約70人に1人が長期療養に入っている現状は、学校現場の働き方や支援体制そのものを見直す必要がある水準です。
しかも、要因の上位には、児童生徒への指導、職場の対人関係、事務的業務が並んでいます。
これは、現場の教員が「自分の努力だけでなんとかする」には限界があることを示しています。
必要なのは、教員個人の我慢ではなく、
です。
こうした現状を踏まえ、私たちは先生が孤立しないための支援導線を整えています。
不調が深くなってからではなく、少ししんどいと感じた段階でつながれる場があることが大切です。
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本記事は、以下の公的資料・公表データをもとに作成しています。
※数値は公表資料に基づいて整理しています。割合は、文部科学省資料における在職者数・年代別母数等をもとに算出・推移しています。
※記事中の「約130人に1人」「約70人に1人」は、読者に規模感が伝わるよう百分率を人数感覚に置き換えた表現です。